“joe-hen” という名のバッグ

サックスを吹く時は、足を肩幅に開き、背筋を伸ばして、と教わります。身体のどこにも余計な力が入らない状態で演奏するのが理想だということで、このような言い方をするのでしょう。また、ステージ上で堂々として美しい姿に見えるということもあるかと思います。
今回お話しするのは、これとは真逆の吹き方をする、世界的に有名なジャズマンについてです。私が初めて彼の演奏している映像を観たのは、学生の頃だったと思います。足をぴたっと閉じ、首に低くつるしたテナーサックスを猫背の姿勢で吹いていました。なんとも陰気臭く、その姿も相まってか、演奏もチマチマした印象に聴こえ、あまり好きになれませんでした。

それからしばらく経ったある時、CDショップのジャズコーナーを物色していると、とても洒落たアルバムジャケットを見つけました。手にとってみると、なんとあの猫背の彼のものでした。少し悩みましたが、こんなに格好良いジャケットなら中身(演奏)もきっと良いはずだと購入してみることにしました。

それがこちらです。

彼の名は
Joe Henderson

アルバムタイトルは
Page One

聴いてみた感想としては、残念ながら演奏のチマチマした印象が覆るまでには至りませんでした。
ただ、このジャケットデザイン、そこに写るレザーのサックスケース、スーツ、タイ、サングラス、全てが洒落ていて、とても魅力的でした。

さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題、製品の紹介です。
ここに写る彼が、このサックスケースを担ぎ演奏へと出かけるとき、おそらくもう片方の手にあったであろうバッグをイメージしました。実は、サックスというのは楽器本体だけでは音を鳴らすことができません。ネックストラップ、マウスピース、リードなど、様々な用具が必要なのです。それらと楽譜を入れるための、このアルバムジャケットの雰囲気に溶け込めるような、少し大きめでシンプルなバッグ。
名前は、”joe-hen” 。

商品ページ
“joe-hen”
https://da61.thebase.in/items/66671153

このアルバムに出会ってから随分と時間が経ちました。私自身、歳をとるにつれ、音楽の聴き方が少しずつ変わってゆくのを感じます。そして今では彼の演奏が大好きになりました。
音を外側に放つのではなく、自己の内側に向かって響かせている、と言えばいいのでしょうか。豪快とか、朗らかな演奏とは対極にあって、内にエネルギーを溜め込んでゆくようなプレイスタイル。(当時の私は、これをチマチマと感じていたわけです。)演奏が進むにつれて、どんどん極まってゆく姿がとても格好良いのです。